横浜元町ヒストリー

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横浜元町ショッピングストリート



06 オンリー元町=日本のどこにもない魅力 杉島和三郎

杉島和三郎さん

元町は過去二回、焼け野原になっています。関東大震災と第二次世界大戦です。自然災害と戦災により、横浜開港当時に元町にいた方たちの子孫は、ほとんどいなくなったといわれます。
大正時代、表通りに看板を出して商売をされていた方たちも戦後は10分の1程度になったようですが、二度の大きな災害に見舞われても、扱う商品を変えてお客さまのために商売を続ける方もあります。また、戦後に元町へ移り住み、成功された方もたくさんいらっしゃいます。丁目ごとにあの方、この方と挙げていけば、一人ひとりに努力と復興の歴史があり、すべてをご紹介することはとてもできません。

私は元町自治運営会のまとめ役として会長を仰せつかっているのですが、商店街=元町SS会・CS会の方たちは自治運営会への協力を何より優先してくださいます。長く途絶えていた「子ども御輿」を復活させたい旨をお知らせしますと、多くの方からあたたかい援助をいただきました。目標額に達するのは間違いなく、立派な「子ども御輿」が町内を練り歩く日は遠くないでしょう。

「元町の魅力は何ですか」と、会う方のほとんどがお聞きになります。魅力を聞かれることほどうれしいことはありません。いっぱいありますが、まず、このまちに生まれ育った立場で言いますと、「環境がいい。静かで、交通の便が良くて、生活しやすい」などです。都心や、市内の他のまちからわざわざ元町に引っ越してこられる方の多くがこの点を挙げてくださいます。商売の面からいいますと、表通りも仲通りも品揃えやスタッフ教育に力を入れ、お客さまに喜ばれる商品や接客、サービスをしようと日々、努力を重ねているお店が多いということです。「オンリー元町=日本のどこにもない魅力」を、個々のお店がアピールし続けている商店街は、他に例がないと思います。

昭和40~50年代の表通りのにぎわいや華やかさ、チャーミングセールなどをご存じのオールド元町ファンには物足りなさがあるでしょうが、きっといつか、かつての輝きに新しい世代独自のアイデアが加わって人々を引きつける元町ができる、と信じています。

まちづくりにみなさんが一体となれるのは、つねに危機感を抱いているからだと思います。お客さまに喜ばれる努力をするのは商人として当たり前のことで、お客さまにながく支持されるにはどうしたらいいかを、ことあるごとに議論できる場を持ち、議論の仕方を知っている二代目、三代目が育っているからだと思います。元町には、問題に直面しても、泣き言の前に解決策をみんなで考える雰囲気があります。みんなの力で何とかしよう、とする前向きなエネルギーがあふれていると思います。

生家のルーツは彦根藩の武家です。大老となった井伊直弼に仕えて江戸にあがり、幕末、大政奉還を経て商家になり、砂糖、自転車といったいわゆる文明開化の品を扱うようになりました。私は昭和3年に生まれていますが、そのころはオートバイを扱っていました。現在はタバコ、喫煙具などの専門店ですが、凝り性の次男が早くから始めた商売です。私は大学を出て三菱重工業に設計技師として就職したので、元町の店でお客さまを迎えた経験はないんです。高度成長期は出張と残業でほとんど家にはいませんでした。遅く帰って睡眠をとり翌朝早くに出かけていくという日々でしたので、店にやってくるお客さまの中には妻を、杉島商店の娘だとばかり思っていたなんていう笑い話もありました。

学生だった昭和20年代はじめは、これといった娯楽がなかったのでダンスが大流行しました。私も大学に通いながらダンスを習い、代官坂にできた本格的なクラブ、クリフサイドでダンスを教えるアルバイトをしていたことがあります。東京から映画俳優などがやって来て、楽団の演奏をバックにフロアでステップを踏む。館内には寿司や天ぷらを出す店もあり、毎夜、にぎやかで華やかな光景が繰り広げられていました。小学校の同級生の妹がダンスや飲食で来店する客を迎えるダンサーで、クローク係も中学校の同級生の妹でした。ダンスの先生役は家に内緒でクリフサイドに出かけるのですが、翌日には彼女たちの報告で女房や家族がそのことを知っているという有様でした。

横浜が開港して間もなく150年です。私は77歳になりますが、開港後の横浜ですでに半分近くを生きてきたんだと思うと感慨もひとしおです。自分の歩んできた月日は、三つに分けられると思います。一つは元町に生まれ育った時期、つぎは大学を出て会社勤めとなり、定年を迎えた昭和63年まで、三つ目は平成になり、元町自治運営会を通じたまちとのかかわりです。
この先もずっとまちの変化と成長を身近に眺めながら、私は元町とかかわって生きていきたいと考えています。

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