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2024年(令和6年)55日号 元町コラム  

横浜開港200 / Y2002059年)を夢みて!

 

モトマチのフェニックス 〜不死鳥の翼に乗って〜(9

 

 〜 甍(iraka)の風 

 

 例えば野に咲く1輪の花の美しさ、そして、夜空を一直線に切り裂いて消えるひと筋の流星の青い光、出会うべくして出会った物や経験は実に貴重で尊いもの。 そんな事を漠然と考えながら、元町ストリートのベンチに腰を下ろして5月の風を楽しむ至福の時間も貴重な瞬間に他なりません。

 

 しばしの時が流れて、手のひらの上に無限の宇宙を探しながら遠い世界に思いを馳せていたその刹那、時を知らせる「元町チャーミー」のカリヨンベルに現実に引き戻され、チャーミーのお隣さん、石橋さん(喜久家)のラムボールと「えの木てい」のチェリーサンドをおみやげに頼まれていた事を思い出して、慌ててベンチを後にしました。

 

 早いもので今年も、もう、55日。 昔日の日々の記録の中に元町に翻る鯉のぼりが写された数葉があった事を思い出して必死に探して見つけた1枚があります。 そこに記録されている古き長閑な町の風情に現代と共通するものを探すことは困難ながら、大きな空がそこにも此処にも広がるさまは、時代を超えて変わることのないストリートの風情を醸し出しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※ 甍の風を受けて泳ぐ鯉のぼり。 元町二丁目辺りから一丁目の増徳院と、その森を見渡した1枚。 通りに様々な店が軒を連ねている明治中期の元町ストリートと往年の5月がそこに存在しているーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


※ 雨上がりの現代の元町ストリート。 雲が行き過ぎ、広さが増した空を見上げるその足元では、今日の花壇が賑やかに花を集めて令和の季節を謳歌しているようだーーー。(Photo by S. Kitamura)

 今年、2024年の八十八夜は5月1日がその日でした。 文部省唱歌にも歌われている八十八夜とは、春がスタートした立春(節分の翌日、2024年は2月4日 日曜日がその日)から数えて「八十八の夜」が過ぎた88日目を意味する雑節のひとつ。 そんな感慨にふけっていたら、今年は、今日、5月5日が「立夏」だったことに気がついた次第です。 🎶〜 夏も近づく八十八夜〜  から一気に夏へ。 暦の上とは言え、今日からは夏を意識して街へ飛び出す事に致しました。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※ 山手の丘、豊かな歴史を育む母校の友人たちとエンジョイした小妹の眩しい日々。 桐の小箱に眠る想い出を孕む品々にあった刻印を表書きした。 ペンダントには「奨学会」、髪留めには「白菊会」とあり、それぞれに祝の文字と「1968 3」の刻印があった。 高校の卒業生へ、O.B.の組織から贈られたこれらの祝いの品は、元町の老舗、スタージュエリー謹製と聞いているーーー。

 爽やかに風が流れるストリートの夕暮れ、再び空を見上げると、ブルーモーメント(blue moment)の瞬間が訪れていて思わず両手を広げて深呼吸です。

 ブルーモーメントとは日没直後や夜明け前に一瞬見られる現象のことで、元来は北欧圏で生まれた言葉ですが、白夜の時期に数時間に渡って見られる一面が青い光に照らされているように見える気象現象の事。 同名の新TVドラマもスタートすると聞いていますが、日本では天気の良い日没の直後に見られる現象で風景が青に染まる瞬間の事。 北欧のそれと比べて日本の「青の瞬間」は時間も数分から十数分と短く、貴重な瞬間となっています。

 目の前の風景が青に染まる瞬間を待ちながら、久しぶりに山手通りの公園ベンチに腰をおろして暮れなずむ横浜を眺めるというのは如何ですか? 新しい季節に、新しい何かが始まる瞬間を是非、ご一緒させて頂きたいと思います。

Tommy T. Ishiyama 

 

 

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