2023年(令和5年)12月5日号 元町コラム
横浜開港200年 / Y200(2059年)を夢みて!
【特集】心安らかに人生を見つめ直す旅への誘(izana)い〜(22)
〜 今年もいよいよ冬の訪れです 〜
12月の声を聞いて何故かホッとするのは、今年も無事にクリスマスがやって来るという実感に加えて、いろいろと戦って来たこれまでの幾年(ikutose)を乗り越え、普通の12月が元気に戻って来てくれたと思えるからに他なりません。
※ 160年余の伝統と歴史、スイスから届いたヴォルカート社製(Burkart-Kreuzlingen)の手書き絵皿を飾った。季節への畏敬の念を込めてーーー。
新しい季節の訪れに感謝しながら自らに課せたテーマでもある「寒さに負けないクリスマス」を意識して街に飛び出したら、折角ですから思い切って北欧までご一緒するというのは如何でしょうか。
真冬の厳しい寒さの中、コンサバティヴにゆったりと暮らしている北欧の国々。 冬の一番の魅力は大地に大自然の生命力が満ちあふれ、脈々と遺伝子を紡ぐように動植物たちが人類発祥の以前からの大切な命を育んでいるということ。 北欧にそれらの原点が集約されていることを再認識しながら、凍るようにキリリと引き締まった神秘の夜空に舞うオーロラや、音楽を奏でているようにキラキラ輝く星たちが出迎えている事に感動しましょう。
※ 大都会の冬は、、、まず、高層ビルの屋上からーーー。
資料を紐解けば、人類がかつて肉眼で見えた最も遠い天体は2008年3月19日に30秒間だけ明るく輝いた「GRB 080319B」で、この星は76億3300万光年の彼方から光を届けてくれたわけですが、その瞬間の日本時間は同日の15時13分の事でした。 それはまさに、光の速さで76億3300万年の歳月を費やして地球に届けられた光ですから、頑張れば常時見られる天体、「さんかく座銀河」や「アンドロメダ銀河」の地球からおよそ250万光年という距離が近く感じてしまうから不思議です。
思うに、太陽光を反射させて輝く星たちの光の性質はそれぞれに異なっている筈ですから、いつの日か、それぞれの光の波長を音楽の旋律に換え、そして、その光が発する音の深度を明確に分析して譜面を描くことが出来たら「輝く星たちのコンチェルト」が完成するかもしれません。 きっと、素晴らしいコンチェルト(協奏曲)が出来上がることでしょう。
※ 今年は雪が遅かった北の大地。天空の銀河を写したように、いつもの白い世界が眼下に広がっているーーー。(薄暮の函館山から)
北欧にも似て、北の大地が白一色になりつつある今日、私たちが住む大都会の片隅では、今、やっと、遅い秋が運んで来た紅葉樹の落ち葉がサラサラ、サララーッとコンチェルトを奏でているように踊っています。 北欧の空を想像しながら、今夜は「アルバート ハモンド」(Albert Hammond)の名曲、「落ち葉のコンチェルト」(For the peace of all mankind / 1973年リリース)を聴きながら秘蔵のグラスにお酒を満たすのも一興です。
ストレスが蔓延している昨今、「音楽心理学」という学問が脚光を浴びていますが、「文字文化を持たない社会はあるが音楽文化を持たない社会はない」といわれるほど人類にとって音楽は身近なもの。 音楽を聴くことで気分が高揚したり、リラックス出来たという経験を多くの皆様がお持ちのことと思います。 音楽には「覚醒水準を調整する効果」があることも多くの実験によって証明されています。 覚醒水準を調整する効果とは、脳や神経の覚醒水準が高いときはそれを抑え、低いときは高めるという働きのこと。 過度の興奮状態であればそれを抑え、落ち込みが激しい状態であれば一転して気分を高める効果を持っている魔法の薬みたいなもの。 「音楽心理学」という学術分野での研究が格段のレベルで進んでいると伺いました。
深夜、耳を澄ませると遠い昔から続いている自然界の音が聞こえてまいります。 風の香りの中にも音で「音楽」を感ずる事が出来ますが、先人の皆がそうした営みを続けて来た事を尊く感ずる瞬間でもあります。
加えて、人の遺伝子にはあらゆる場合に対応できる機能が備わっていて、今、注目されているのが各分野を統合した「統合医療」です。 西洋医学を基盤として音楽療法もこの統合医療に含まれているそうですから心を癒す音楽を上手に生活に取り入れて、幸せホルモンの発散によって良い遺伝子の活発な運動が促進されたら喜ばしい限りです。
これまで出会った印象深い多くの音楽作品を静かに目を閉じて再聴すると、ジャンルを問うことなく心の中に光や希望が湧き上がり、全てが明るく輝き出すと同時に音の粒子が心に染み渡る事が実感出来ます。 それは音楽が幸せな気分と健康感に満ちた毎日へとあなたを誘(izana)う為に元気に活動を開始した瞬間でもあり、それに気付く繊細さを大切にしたいものです。
Tommy T. Ishiyama