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*本コンテンツは、これまで元町公式メールマガジンにて配信しておりましたコラムです。

2022年(令和4年)11月20日号 元町コラム 
横浜開港200年/Y200(2059年)を夢みて!    

     秋ですね!
日本全土の紅葉が華やかに季節を彩りを競っています。

     木漏れ日が心地よい昼下がりの元町公園。 大都会の中に佇む里山のようなはんなりとした風情の中、ストリートを見下ろす桜並木も美しく紅葉して、横浜の秋のワンシーンを演出しています。 春と秋、2度も季節を満喫させてくれる桜たちに改めて感謝を述べたいと思います。

     お気に入りの楽曲をお供に散策中の若い皆さんも、心地よさそうに何かを口ずさんだり、一瞬、軽快なステップを踏んだり、楽しそうに秋を満喫している様子に心が和みます。

※ 元町、山手の丘から真西に一直線。 元町厳島神社に正対するように東の眼下を見守る伊勢山皇大神宮。 七五三のお参りで賑わった余波をそっと受け止めているように鎮かな秋が訪れているーーー。

     さて、楽曲と言えば、「ダニーボーイ」(Danny Boy)という名曲をご存知の皆様も多いことと思いますが、普段、よく耳にする歌や楽曲が秘めている力は、どんなに時代が進んでも色あせることなく、夜空に瞬(matata)く星のように輝き、何かを語りかけてくれているように感じますが、往年の名優であり、ミュージカル「ホワイトクリスマス」でも名を馳せた歌手、「ビングクロスビー」(Bing Crosby)が歌った「Danny Boy」は、まさにその代表的な一曲。

     哀愁あふれるこのアイルランドの名曲は、こう歌い始めます~

~ Oh Danny Boy, the pipes, the pipes are calling. From glen to glen and down the mountainside♪ ~ The summer's gone and all the roses falling ~♪

     「The Pipes」とは、あのバグパイプのこと。

     おおよその意味は、、、、

~♪愛しいダニーよ! 君を呼んでいるようにバグパイプの音色が山を駆け、谷から谷へと木霊しながら流れて行くよ。 早や夏も過ぎ去り、ばらの花も枯れて、そして、キミは遠くへ行ってしまった~♪

     この歌にある「ザ パイプ」とは、バグパイプ(正しくはバッグパイプ)の事で、起源は聖書の創世記に出て来るアブラハムの故郷、古代都市のウルや、古代エジプト時代まで何千年も昔にさかのぼります。 それらの場所で発見されている簡単な葦笛を学者たちが現代のバグパイプの先駆けとみなしているわけですが、いつ、誰が、どの時代に、空気袋を取り付けて現在のような仕様になったのかは全く不明のまま今日まで存続し続けています。

     イエス キリストの誕生より500年余り前に書き記された聖書のダニエル書には、バビロニアの楽器の名称が6つ挙げられており、そのうちの一つがアラム語の「スームポーンヤー」という言葉で、これを“bagpipe”(バグパイプ)と訳している英訳聖書が結構多く存在しています。

     ゆえに、バグパイプは北欧を始め、スペイン、ポルトガル、イタリアといった南ヨーロッパや中央・東ヨーロッパなど、世界中の多くの場所にさまざまな形で存在しています。

※ 横浜三渓園の秋。 元町公園がある山手の丘続き、、YITC(横浜インターナショナル テニス コミュニティ)がある山手公園から真東に位置するのが本牧神社と本牧山頂公園。その向こうの海側に位置する三渓園は、本物の日本の四季を私たちに教えてくれる魂のエリアでもあるーーー。

     アイルランド民謡、「ダニーボーイ」の歌詞に唱(uta)われている「ザ パイプス」は、兵士を勇気づける進軍ラッパであると同時に、アイルランドやスコットランドでは招集ラッパや死者を偲ぶ儀式としても使われていますから、ダニーが死を覚悟して戦争に行ってしまったことをこの曲から容易に想像することが出来ます。 また、この楽曲の詩が母親の心境を歌ったものか、あるいは、父親の気持ちを歌ったものかは諸説のあるところですが、子を思う親の気持ちに変わりはなく、曲の旋律が心に沁みわたって、アイルランドやスコットランドの晩秋を思わずにはいられません。

     また、バグパイプで思い浮かぶ、もう一方の雄は、「ユーレイズミーアップ」(You Raise Me Up)を歌った女性ヴォーカルグループ、「ケルティック・ウーマン」(Celtic Woman / 意味はケルト人の女性たち)です。 歌の途中、間奏の盛り上がる部分のことを「サビ」と言いますが、この曲のサビがダニーボーイに似ていると話題になった事がありました。

     作詞自体にアイルランド色が色濃く存在している事に加えて、曲想がアイルランド民謡に根ざしているので民族的なテイストが「ダニーボーイ」や「ユーレイズミーアップ」、「アメイジング・グレイス」に溶け込んでいるのは当然のこと。 人間の感性というものが気候や風土によって育まれていることが良く解ります。

     伝統的なアイルランド民謡、「ロンドンデリーの唄」(デリー地方の唄)には、これまで100曲以上もの歌詞が作詞され、歌われていて、その中の一つが「Danny Boy」に代表される「Irish Love Song」ですから、世界中の人々の耳にもなつかしく響いてくるのは当然と言えば、至極(shigoku)当然の環境があることは否(ina)めません。

     これらのアイルランド&スコットランド民謡にまつわる伝説は沢山あって、その多さ程、皆に愛され、歴史が育まれていると言えるのではないでしょうか。 今朝のアイルランドの気温は-2℃、日中でも+5℃前後ですから、本当に、もう寒い季節を迎えています。

     皆様におかれましても、どうぞお健やかな日々をお過ごしくださいますようにお祈り致しております。

      元町公園、、、陽だまりのベンチにて

Tommy T. Ishiyama

 

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