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2024年(令和6年)25日号 元町コラム
横浜開港200年 / Y200(2059年)を夢みて!

モトマチのフェニックス 〜不死鳥の翼に乗って〜(3

 

 アイガーを見上げながら「ラクレット」をいただく贅沢 

 

 インターネットの登場という時代の変遷と共に、元町メールマガジンの配信開始と同時にスタートさせたこの「元町コラム」も早や満21年。 以来、変わる事なく隔週配信の月2本、毎月5日と20日に更新しながら、皆さまへ小さな元気をとお届けしています。

 

 さて、本格的な寒い日々の中、同じ寒さならと、元町ストリートの海側ゲート上で大きな翼を広げているフェニックス、「ステラマリス」に飛び乗って北極経由でスイスへご一緒しませんか? 昔日の想い出の地を目指して出発です。

※ 北極星を目指す元町のフェニックス「ステラマリス」。 もう一方の入り口、石川町側ゲートでは、西方浄土、真西を目指す「ジュピター」がスタンバイ中ですーーー。

 アイガー(Eiger / 3970m)、メンヒ(Mönch / 4107m)、ユングフラウ(Jungfrau / 4158m)といったベルナーオーバーラント(Berner Oberlang / スイス ベルン州の南端に位置する高地)を代表する4000メートル級の名峰三山を眺めながら、私たちも一緒にスクラムを組んでいる様な錯覚を覚えながらいただくのは、トロトロに溶けた熱々のチーズがたっぷりと乗ったホクホクのポテト。 そのテイクアウトメニューの名称は、まさにチーズそのままの「ラクレット」。 

※ アイガーの懐深く登山電車が我々を運んでくれる。 多くの登山家たちの夢を打ち砕き、立ちはだかって来た北壁登頂ルートが威厳を誇示するように今日も毅然と聳えているーーー。※ 世界中から四季を問わずに訪れる人々を迎えつつ、悠然と見下ろす春のベルナーオーバーラントを代表する三山。 左から、アイガー、メンヒ、ユングフラウの勇姿ーーー。

 氷河と名峰が連なる壮大なロケーションの中をひたすら進むユングフラウ鉄道に揺られて、その懐近くまで行けてしまうのは文明のおかげとしても、これは、今日まで頑張って来た皆さん自身の人生のご褒美、地球に生まれて来て良かったと心から思う瞬間でもあります。

※ もう直ぐ春。 お馴染みのスイス・ヴォルカート社製の絵皿も春ヴァージョンへーーー。

 1970年代のTVアニメ「アルプスの少女ハイジ」が大評判の当時、皆から質問が集中した事がありました。 折しも筆者がスイス商社時代の真っ只中の頃、それはハイジ達が暖炉にチーズをかざし、溶かせながら頂く食事のシーンで、「一体、あれは何をしているのか?」というものでした。 チーズフォンデュも日本ではまだ珍しかった時代、材料や道具を探すのにもひと苦労でしたが、東京では紀伊國屋、横浜では元町のユニオンに僅かに並んでいた頃ですから無理もありませんが、皆が食していたのは、今で言う、溶かしながらいただいていたラクレットチーズそのものだったのです。

 チーズフォンデュとラクレットの違いは、使用するチーズが1種類か複数種類の混合かという違いだけ。 フォンデュは数種類のチーズを白ワインと一緒にフォンデュ鍋で溶かし、コーンスターチ等でとろみをつけていただくもので、もう一方のラクレットは単品のチーズの表面を焼き、溶けた部分を料理の上にかけていただくという違いだけ。 チーズ名のラクレットが、料理名としても使われるようになったわけですが元来はフランス語の「raclette」で、「削る」を意味する「racler」から来ています。 ヴァレー州を中心とするスイス全土の他、スイスの国境に近いフランスのサヴォア地方の名物料理ですが、近年、レストラン等でのパフォーマンスとして人気の、長方形のチーズの塊の上部を溶かしながら、削ぎ落とすように料理にかけていただくスタイルはヴァレー州以外で多く見られるスタイルです。

 大きな馬鈴薯をホクホクに蒸し、三つのブロックにしてからお皿に盛り付けましょう。 そこへ、トロトロに焼け溶かしたラクレットチーズを上からたっぷりと、、、。 面倒なら、スライスしたハードチーズを乗せて「ラクレットグリル」は如何ですか? 芳ばしい香りにピクルスを添えて、キリリと冷やした白ワインもお供に。 テーブルの上に登場したひと皿は、新雪が降り積もったスイスアルプスの山懐(yama-futokoro)にいる自分と、ラクレットが名峰三山を演出してくれて、スイスの白い大自然へと夢が誘(izana)われます。

Tommy T. Ishiyama 

 

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