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2024年(令和6年)220日号 元町コラム

横浜開港200 / Y2002059年)を夢みて!

モトマチのフェニックス 〜不死鳥の翼に乗って〜(4

 

 文頭にあたりボストン交響楽団の追悼演奏に耳を傾けながら、去る2月6日にご逝去された小澤征爾さんに衷心より黙祷を捧げたいと思います。 情熱あふれる指揮台に立ち続け、クラシック音楽を通じて私たちを世界の旅へ誘ってくれた氏は、2022年、無観客ながら総監督を務めるサイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)を実に3年ぶりに指揮し、宇宙飛行士の若田光一さんが滞在中の国際宇宙ステーションへ向けての生中継を実行されました。 『音楽は言葉も国も、宗教も政治も超えて人と人のこころを結びつけてくれる 〜 音楽は、僕らが同じ星に住む同じ人間であることを知らしめ、皆がひとつになれる魔法』と最近まで語っていらっしゃいましたーーー。 深くご冥福をお祈り申し上げます。 石山利幸

 

 水の都で仮面舞踏会 

 

 世界三大カーニバルのひとつ、イタリアは水の都ベネチアでのカーニバルに昔の貴族のように身分と立場を仮面の下に仕舞い込んで参加しましょう。 中世の世界へ一足飛びです。

 

 その起源は12世紀頃まで遡り、抗争に勝利したベネチアの人々がサン・マルコ広場に集って狂喜乱舞したことがきっかけと言われているわけですが、18世紀のベネチアでは、身分を超越して豪華な衣装と仮面を身につけることによって皆がお互いに素性を気にすることなく公平に参加する事が出来る祭典として発展し、人々は日頃の窮屈した日常から脱した開放感を謳歌したのです。

 

 その後、ベネチア国家の滅亡とともにカーニバルは途絶えますが、20世紀後半に復活し、現在では開催中の2週間で延べ約300万人もの参加者で溢れかえる程の発展を見せています。

※ 「Carnival Rowing Parade」はオープニングセレモニーの翌日に行われる水上  パレード。 日曜日の11時にスタートするこのパレードでは大運河を埋め尽くすほど多くのボートが行き交うーーー。

※ 観光客やお土産用の仮面販売ブースでお気に入りの仮面をゲットして貴族の身分から下野したつもりでカーニバルの中心に自ら溶け込もう。 皆が何を考え、どう楽しみを謳歌しようとしているかをつぶさに理解することが出来るだろうーーー。 

※ 我が家でも役目を終えた仮面たちが次の舞台を夢見ながら眠っている。 時空を超えて行き交う人々がやがて登場する日が来るかも知れないが、これまで人類が積み上げて来た文化は、進化こそすれ、決して廃(suta)れることはないだろうーーー。

 コロナ禍(COVID-19 : Coronavirus Disease 2019)を乗り越えて、完全復活の開催を見た今年のヴェネチアのカーニバルでしたが、主役の仮面と中世の衣装をまとった仮面舞踏会の参加者の皆さんは「マスケラ」(仮面の意。 英語 : masquerade / 仏語 : bal masqué)と呼ばれて大歓迎されました。

 全員、大道芸人でも無ければプロでもないわけで、普通のイタリア人であったり、我々のような観光で訪れた人々なわけですが、それは「仮面で装えばカーニバル期間中は貴族も庶民もなく皆、平等」との史実に基づいています。 今年は久々の完全復活の意味もあってか、中世のコスチュームに磨きをかけた皆さんが世界中からヴェネチアに集結して大きな盛り上がりを見せていました。

 ベネチアのサンマルコ広場へはベネチア・テッセラ空港(通称 マルコ・ポーロ空港)からタクシーで約20分、また、水上バスで約1時間15分で到着です。

 余韻そのままに、日本へ帰国するのは勿体ないと思う皆さまは、ノリノリの気分のままに、フランスのカーニバル、マントンのレモン祭りとニースにも寄り道して夜のパレードにも参加しましょう。 夜空に乱舞する光になって、春節を終えたばかりの世界を見渡せば、2024年が一層輝いて見える事でしょう。 

 1年分の充電を済ませて、いつもの空間に戻ってゆっくりと仮面を脱げば、そこには新たな世界があなたを応援するように取り囲んでいる事でしょう。

Tommy T. Ishiyama 

 

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