2023年(令和5年)10月5日号 元町コラム
横浜開港200年 / Y200(2059年)を夢みて!
【特集】心安らかに人生を見つめ直す旅への誘(izana)い〜(18)
〜 ヨーロッパの秋、ソフィアの秋 〜
ソフィアは東南ヨーロッパのバルカン半島に位置するブルガリア共和国の首都。 北にルーマニア、西にセルビア、そして、南にギリシャとトルコ、東で黒海に接し、札幌とほぼ同じ緯度に位置しているために夏は温暖で冬は寒冷。 温暖気候と亜寒帯気候の二つの特性を備えています。
横浜の散策が好きと言う小説家、五木寛之さんの初期の作品にも「ソフィアの秋」がありましたが、50年前、この作品に接した筆者の若き日と同じ、遠くブルガリアに思いを馳せている自分が現在も本の向こう側に存在している事を実感します。
男女の情念が描かれているこの作品は、その後の五木作品の主流をなすテーマの物語でした。 その中に出てくる「ミネルバ茶房」は、この小説『ソフィアの秋』の舞台となった架空の喫茶店でしたが、小説の冒頭部分で「店もまた人である、〜ミネルバ茶房は、とりもなおさずそこの店主の人柄そのものの象徴といえる店」 という文章があって、実に印象的で情緒深い氏の筆致が残照のように心に輝いています。
※ 五木寛之氏の多くの作品に影響を受け、学生時代から続く日々を凝縮させたような旅への郷愁を再認識させられた筆者は、近年、読者のひとりとして氏への尊敬の念を禁じ得ないーーー。
※ 以前にも自慢の氏から頂いた著書。 二度目の筆を置いていた五木さんは、1984年発刊された山岳民の伝説を題材にしたこの『風の王国』で執筆活動を本格再開した。 まさに新たな旅立ちの記念碑とも言うべき作品となっているーーー。
※ おしゃれで優しい語り口、元町ダンディのメインモデルのような五木寛之氏。 元町界隈の秋の散策にまたご一緒したいーーー。
気温が下がり始めた9月も過ぎ、一気に秋を見送ろうとしているソフィアの昨今は平均最低気温が10度を下回る日も多く、一気に東京の冬の気温になって、ダウンジャケットやコートなどの温かくおしゃれな冬の装いが手放せない季節を迎えています。
※ ドームが重なり合っている独特の意匠。 ブルガリアの首都ソフィア(Sofia)のランドマーク、アレクサンドル・ネフスキー大聖堂はバシリカ建築の威容を誇り、金のドームの輝きが印象的です。 バシリカ(basilica)とは古代ギリシャの影響を受けた建築様式の長方形の建物のこと。 短い辺に位置する入り口を入ると長い身廊(Shin-ro)があり、左右の壁側には側廊(Soku-ro)があるーーー。
ソフィアの真の冬は12月に始まり、翌年の2月まで続きますが、標高が高いことから寒さが厳しく降雪も多々あって冬は最低気温が氷点下になる日が多く、1月が最も寒く、平均最低気温が-3.5℃まで下がります。
元町ショッピングストリートのウィンドウと同様に、ソフィアの冬はお洒落な上質のコートやマフラー、手袋、ニット製の帽子など、リッチなイメージの防寒衣料が満ち溢れ、世界の冬のファッションを一歩も二歩もリードしています。
Tommy T. Ishiyama