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2023年(令和5年)6月5日号 元町コラム
横浜開港200年 / Y200(2059年)を夢みて!

【特集】心安らかに人生を見つめ直す旅への誘(izana)い〜(10)

     6月10日、「時の記念日」(Time Day)が今年も近づいて参りました。

     普段は特に考えた事もない「時間」というものの概念に想いを巡らすと、過去と未来が見事に調和している感があり、見えて来るものがあります。

     時計はこれまで何千年にも渡って時間の計測や時の流れを指し示してくれる道具として人類に利用されて来たわけですが、現在の六十進法による時間の単位が考えられたのが紀元前2000年頃ですから約4千年以上前のこと、そして、1日を12時間ずつの午前と午後に2分割するという発想を抱いたのは、水時計も創作した古代エジプト人たちでした。

※ 我が家に存在するタイムピースのひとつ。 横浜の祖父から山梨の祖父へ、そして長男の伯父へ、、、4代目の所有者となるボクへ1世紀を旅して来た時計は心地よい重さで今日も生命の時を刻んでいるーーー。

     やがて、「砂時計」が登場し、それらが進化したのが歯車式の時計でした。 ゼンマイ式の懐中時計が登場したのが今から500年くらい前の事で、振り子時計になったのが300年前。 つい最近のお話しです。 そして、現代のクオーツ時計の登場をみると、一気に、原子時計の開発へと歴史が大きく動いたのです。

     ひと言で表現するならば、想像を絶するとんでもなく正確無比な「時間計測マシーン」を人類は手に入れた事になります。

     例えば、3千万年に「1秒も狂わない」という制度を誇る「セシウム原子時計」で何が計測できるのかと言うと、地球の重力から遠ざかる地上10メートルごとに異なる時間の進み方が計測出来るというのです。

     更に、「3百億年」に「1秒秒も狂わない」時計まで出現して、そうなると、僅か「1cm」の高さの違いによる時間の誤差が計測できるというのです。 言い換えれば、目、鼻、口は異なる時間の空域にそれぞれ存在し、頭部と足の先では全く異なる時間が流れている事が証明出来るようになるわけですから、まさに異次元へのタイムスリップの入り口も探し出せるような、そんな時間の隙間が計算上、発見できるかも知れません。

     近年になって、時間計測の制度が進化的な向上を遂げたおかげで判明したのは光の速度で、その結果がまた驚きです。 以前は「1メートル」の長さの基準は「メートル原器」という定規のようなものや、原子が出す光の波長によって「1メートル」の長さを定めていたわけですが、現在は「光の速度」を計測することによって「1メートルの長さ」が決定されていると言うのです。 まさに、時計の精度向上のおかげで「光」が「ものさし」の原器になっている事実には驚かされる一方、学者の皆さん方は「時計は重力で湾曲している相対論的な時空間を計測する道具」としてとらえているということですから、新たな概念や時空を超えた異次元の世界の発見に貢献するかもしれません。

     砂時計の砂が「未来」の空間から「現在」という細い管を通過して、「過去」へと落ちて行きます。 やがて、砂が落ち切り、未来が空になったら逆転させて、下に溜まった砂たちが、今後は未来になって再びいつもの時間がスタートするわけですから、いつの日か、現世の時間も大逆転して再スタートの瞬間が来るのでしょうか。

※ 輝く天の川大銀河。 一歩でも星に近付けるように、今年も夜を徹して富士山を行く人々の光の帯が見える。まるで大宇宙の夜空に存在する星座を地上に映したようにーーー。

     そんな想いで眺める初夏の夜空には、今日も無数の星たちが輝き、そこは、もしかすると未来と過去が混載している砂時計ならぬ「星時計」なのでは?と想像出来ます。 つまり、星の光りは全て過去に発せられたものを現在眺めているわけですし、中には、今、この瞬間に出来た星もある筈で、そこで発せられた光はまだ我々の目には届かずに暗黒のまま。 そこには現在も過去も無く、想像する未来があるだけ。

     例えば、私たちが眺める一番近い恒星の太陽の光は「8分19秒前」に発せられたものだし、一番明るい恒星のおおいぬ座のシリウスは「8〜6年前」の光。 北極星は「400年前」、さそり座の一等星アンタレスが「550年前」、アンドロメダ座の大星雲からは「230万年前」の光が今、届けられている事になります。

     なので、人類が地球上に登場したのはたった600万年前という事を加味すると、望遠鏡で夜空を観測して眺める遠くの名も無き無数の星たちの光のほとんどは、私たち人類が発祥する以前に発せられた光が今輝いているという不思議。

     現代では観測技術の発達によって100億光年以上離れて存在している星の光もとらえられるようになっているわけですが、それだけ遠いと、数千億個もの恒星が集まってできている銀河でさえもほとんど点にしか見えないわけですので、通常は1億光年前後の範囲が観測の限界と言われています。

     光の速さで1億年もかかる位置にある星って、いつか行ってみたいですが、 その星の先にも、またその先にも、、1億光年の距離を隔てた星たちが存在しているわけですから無限というものの本当の無限さを知った思いも致します。

     今年の夏は、機会あるごとに夜空を見上げて、直近の天の川銀河を眺めながら人生を見つめ直す旅を楽しむのも一考かも知れません。

     最後に、地球の一番のご近所、天の川さんの基本データのみご参考までに添付致しました。

〜 天の川銀河 (Milky Way Galaxy)〜 物理的性質 直径 約10万光年、厚さ 約1000光年、恒星数 2000億 〜 4000億個、、、ということは、生物の生存可能な地球に似た星、ハビタブルゾーン(Habitable zone / 生命体が生存可能な環境領域)が、地球のように惑星の中に1個は存在すると仮定すると、天の川銀河の中には、最低、2000億個〜4000億個あってもおかしく無いという計算になります。 10分の1の確率に下げても、その数は200億個から400億個。

     地球が滅亡しても誰かが、あるいは何かが生命体として何処かで生きていることは確実です。 安心感を覚えると共に、人生を見直しながら、やり直しも出来そうな気がして参りました。

     今夜は宇宙の彼方への旅を楽しむのも一考かもしれません。 

Tommy T. Ishiyama 

 

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