• facebook
  • twitter
  • instagram
  • youtube

2023年(令和5年)2月5日号 元町コラム
横浜開港200年 / Y200(2059年)を夢みて!

【特集】心安らかに人生を見つめ直す旅への誘い〜(2)

     陽光うららかに感ずる立春明けの昼下がり、何かに誘(izana)われるように訪れた元町公園の陽だまりは、三方が山手の丘に囲まれているその懐(futokoro)に位置している為か、寒い冬でも大自然のかまくらの中に居るようなホッカホッカの暖かさです。

     一昨日、元町厳島神社(Itsukushima Jinjya)での節分祭を盛大に過ごし、翌2月4日は今年も早々に訪れた感のある立春でした。

     季節が着実に進んでいる事を肌で実感したせいか、お祭りの後のような快い満足感を覚えながら凛と建つマリンタワーを見つけて、今年の桜の蕾が大きく無事に成長しますようにと思わず手を合わせた次第です。

※ 段丘が綾なす広い元町公園の一角、元町プールの正面からジェラールの水屋敷跡越しに、マリンタワーが外国人墓地の森と高層マンションの間から顔を覗かせていた。写真では遠景だが、実際はもっと近くに見えるーーー。

※ 元町ショッピングストリートに至近の「ジェラール水屋敷地下貯水槽」脇にあった元町公園の案内図。 図上の赤丸の位置にある。 公園の規模と位置関係が一目瞭然だ。 1年365日、日々、異なる景色を見せてくれる元町公園は広いながらも丁度良い運動量を提供してくれる歴史的散策路だーーー。

     そんな元町公園での一瞬の日向ぼっこを楽しみながら、日本に四季というものが存在し、暦(koyomi)があり、二十四節気(nijyushi sekki)があるという素晴らしさをもっともっと感謝しながら季節を謳歌する事の大切さを再認識した次第です。

※ 「春立つと古き言葉の韻(ひびき)よし」 江戸時代から続く京都東山の割烹「はり清」で頂いた後藤夜半(1895~1976)の一筆を大切にしている。 日本の風情を二十四節気にならって正視する努力さえ怠らなければ、未来の子ども達もそれを見習って日本の心を大切に慮(omonbaka)ってくれる事だろうーーー。

     ところで、筆者の旅の記憶の中には、何故か、暑いか寒いかの両極端の状況が多いわけですが、そんな特異な季節だったからこそ記憶の世界に色濃く残っているという逆説も成り立つかも知れません。 しかし、冬になっていつも思うことは、2月のヨーロッパが何故か落ち着くのはどうしてだろうか?という事です。

     いつも頭の中の何処かに存在しているスペインのアンダルシア、ポルトガルのナザレ、イタリアのシチリアの3つの地方は、陽光うららかな地中海気候のおかげで冬でも暖かいので大好きですが、特に2月はお祭りや近隣のカーニヴァルも多く、春が近づく気分的な要素もあることと昼間ならコートも不要なので街歩きも楽ちん。 しかも、オフシーズンですから、自由な時間に飛行機にも飛び乗れるし観光地巡りも何も気にしないでゆっくり出来るし、ちょっと郊外へ足を伸ばせばウィンタースポーツも楽しめますから2月のヨーロッパは実に貴重。 故に好きだからこその気分が安らぎを与えてくれるのかも知れません。

     「人生、一度は訪れてみたい」と思っている観光地に、皆さま、どうぞ、2月中にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。 土産物店のおじさんや観光ガイドたちも混雑するトップシーズンと違って 、気軽に声を掛ければ取って置きの四方山話を沢山聴く事が出来るし、静かな街を行けば地元の皆さんの普段の生活をつぶさに感じることも出来ます。

     今日は元町を起点に数ある候補地の中からイタリアの国土の12分の1を占めているシチリアへ出かける事に致しましょう。 シチリアは美味しい魚介類をはじめ豊かな食文化が見事ですし、何より特産品のワインがワンサカありますからそれだけでも魅力的です。

     ギリシアの植民地として発展しながら、アラブやノルマンなどの度重なる侵略を受けた結果が様々な文化が入り混ざっている理由ですが、全てに特徴溢れる美しい街が点在しているので何度訪れても行きたくなる人気エリアのひとつです。

     真冬でも比較的温暖な地中海気候は気分的にものんびりさせてくれますが、何しろ春の訪れが早いので2月になった途端にアーモンドの花が咲き始めます。 まるで日本の梅や桜が開花した時と同じ様な騒ぎで、風情といい、花姿といい、その美しい姿は私たち日本人にはピッタリ。 観て可憐、、食べて美味しいアーモンド。 本場の抜群の健康食品を味わいましょう。

     世界遺産や古代ギリシア神殿遺跡群の神殿の周りにもアーモンドの木が群生していて、毎年アーモンドの花祭りが開催されていますから花の開花時期に合わせて移動できれば最高です。 タイミングを合わせて、花で彩られた古代遺跡を眺める贅沢も楽しみましょう。

     ところで、暦(koyomi)は古代ローマ人にとっても重要でした。 彼等はもともと農耕民族でしたから作物の収穫サイクルを図るために暦は不可欠でした。 そして古代ローマの人々が定めた暦は、現代の私たちにも大きな影響を及ぼしているのです。 古代ローマ人がどのような暦を使っていたのかを知れば現在のカレンダーの「月」の英語表記の由来も明確に把握出来ますので、また稿を新たにして記述する機会を得たいと思います。

     再び舞い戻った日本は「立春」を過ぎて暦的にも「新しい年の始まり」を迎えた事になります。 立春は二十四節気のひとつですから、そう考えると、立春の前日の「節分」は大晦日のようなものだったわけで、節分に豆まきをするのは新しい年に向けての邪気祓いでした。

     そして、立春から数えて88日目が「八十八夜」、210日目が「二百十日」と定められているなど、立春を基準に行われる行事もある事から、立春が全ての始まりを意味していることが判ります。 本当の新しい年のスタートを無事に切ることが出来たことを再認識して邁進致しましょう。

Tommy T. Ishiyama 

   

follow

ページの先頭へ