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2023年(令和5年)11月20日号 元町コラム
横浜開港200年 / Y200(2059年)を夢みて!

【特集】心安らかに人生を見つめ直す旅への誘(izana)い〜(21

〜旅をするのは、何も人間に限った事ではありません〜

 秋バラの花がほころび始めた「アメリカ山公園」へは、みなとみらい線・元町中華街駅の元町改札口を出て、右方向にあるエスカレーターかエレベーターで最上階へ直行すればスグに到着です。 その特異な立地環境から、駅直結で公園散歩を楽しむ事が出来る日本で一番便利なガーデン公園と言う事が出来ます。

 いつも眺めている海越しのマリンタワーの視線を変えて、山の公園からマリンタワー越しに海を眺めると言うのは如何でしょうか。

※ 元町チャーミングセールと横浜港のシンボル、マリンタワーは同級生。1961年、横浜開港百周年記念事業の一環として建設されたのがマリンタワーと、その並びのシルクセンターコーナーにある「英一番館跡の史跡碑」で、元町チャーミングセールもこの年に第1歩を踏み出しました。趣を変えてアメリカ山公園でのマリンタワーを借景にした記念の1枚を人生の宝物に是非ーーー。

   少し肌寒く感ずる初秋の朝、白糸を束ねたような小さな花を見つけたら、それユーパトリウムショコラータ”(Eupatorium ”Chokolate”)。 秋の七草のひとつでもある「フジバカマ」の仲間で、茶褐色の葉と白い小花のコントラストが美しく、やわらかいイメージの白い花がたくさん咲き乱れるおしゃれなコントラストを見せてくれた後は葉が黄色っぽく紅葉して季節を楽しませてくれます。 

 近年、その花々に群れ飛ぶ蝶が見られるようになったのは気候温暖化の余波かも知れませんが、今年も南の地への中継地として滞在中の「アサギマダラ」(浅葱斑、学名:Parantica sita / チョウ目タテハチョウ科マダラチョウ亜科に分類されるチョウの1種)を見る事が出来ました。

 マダラチョウの仲間、アサギマダラは、おもに熱帯地方に生息するといわれていますが、東南アジアからヒマラヤ、中国、韓国そして日本など、比較的北の方まで広範囲に生息していて、春から初夏にかけて沖縄や九州の島々から北上した日本のアサギマダラは夏を本州の高原などで過ごしたのち、秋には新しい世代たちが南を目指すといわれています。 数千kmもの距離を旅する蝶として、近年、関連書籍なども発行され、NHKなどのメディアでも多く取り上げられるようになりました。

 まさに、春と秋に日本列島を縦断し長距離の旅をする蝶として注目を集めるアサギマダラですが、翅(hane)を広げた大きさが10センチほどのアゲハチョウくらいのこの蝶は、その翅に淡い浅葱色(あさぎいろ〜薄い青色)のまだら模様があることから命名されたそうで、このまだら模様の部分の鱗粉(rinpun / はねの模様を形づくる細かい粉)が少ないために半透明に透き通っているので判別が容易です。
 
 アサギマダラが長距離移動の大冒険を実行する目的は、次世代の生活場所を広く確保するための本能行動だと考えられていますが、生態については不明な部分も多く、厳しい自然界でたくましく生活を営む姿に感動を覚える皆さまも多いことからアサギマダラのマーキング調査が年々盛況を呈しており、参加する皆さまが急増中とか。

※「ふじばかま」に飛来したアサギマダラ〜翅にマーキングのメモが。優雅に舞い、遠く台湾まで長距離の旅をする蝶アサギマダラが、旅の英気を養うように蜜を吸い、花々の間を楽しそうに群れ飛び終えると再び長い旅路へ飛び立って行くーーー。(マーキング資料映像より)       

 アサギマダラのマーキングとは、その生態の解明を目的として、個体の移動距離や行動状況を知るために、捕獲した本体の透明な翅の部分に「記録日時」や「個体番号」などを定められたルールに則(notto)って油性ペンで記載することですが、1980年代に鹿児島でスタートして以来、徐々に全国規模で活動が広がるなど近年急速な拡大を見せています。

※翅を持たない人類は、飛行機という翼に乗って今日も世界を旅している。長距離の移動は容易になったが、旅の疲れは、それに費やす日時に加えて、移動した距離に比例しているように感ずるものの、旅から得る多くのものは人生の宝物として蓄積されて行くーーー。

 アサギマダラのマーキングは日本全国の個人や小規模団体で実施されていますが、山形より北の地域では報告事例が少ないものの、筆者の学生時代の縄張りであった山形県蔵王スキー場や、福島県グランデコスキー場の施設では、毎年、数千頭規模でマーキングが実施されているほか、近県では群馬県の赤城自然園や花楽の里の施設が有名です。

 小さな体からは想像できない長距離を移動するアサギマダラのマーキング体験を通じて、生きものや自然へ温かな興味を持つ子ども達がひとりでも多く登場し、未来を見つめてくれる事を祈りながら、、蝶たちの無事のフライトを今年も祈りました。

Tommy T. Ishiyama

 

 

 

 

 

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