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2023年(令和5年)6月20日号 元町コラム
横浜開港200年 / Y200(2059年)を夢みて!

【特集】心安らかに人生を見つめ直す旅への誘(izana)い〜(11)

    6月の第3日曜日、18日は「父の日」でした。

     アメリカの父の日には白いバラを贈る風習がある一方、黄色がシンボルカラーとなっている日本では黄色のバラやヒマワリなどを贈る人が最近は多くなって来たように感じます。

     その起源は1909年のアメリカ・ワシントン州に遡ります。 過労で他界した妻に代わって6人の子供たちを育て上げた父親に対して「母の日があるのだから、是非、父の日も」と、日頃から父親に尊敬と感謝の気持ちをいだいていた末娘が米国・牧師協会に直訴した事に由来しているそうで、普段はなかなか伝えられない父親への感謝の気持ちを伝えるには絶好の日となっています。

     かつて、筆者が父の遺品の整理をしていた折、学生時代の父の日に贈ったライターが永年の使用で金張りも剥げ落ち、故障して点火出来ないにも関わらず、説明書共々、当時のままのケースに収められて洋服箪笥の貴重品入れの中に保管されているのを発見して大きく涙した事がありました。 これも後年の父の日のプレゼント、細かいドットが粋な「元町ポピー」(THE POPPY)のネクタイと共に、洋服ダンスのいつもの指定席で今日も静かに時を刻んでいます。

※ ダイニングの壁面。 愛犬の肖像画と共に、感謝の白いバラが出入りする皆を日々、見守っているーーー。

     さて、旅の想い出としての筆頭は、、、まず、素晴らしい景色、そして、ご当地ならではの食事。 更に、一緒に旅を楽しんだ人々との交流や新たな出会いに加えて、大失敗した笑い話など、様々な記憶が満載です。

     これが留学や転勤などによる長期の滞在の場合、その想い出は長いドラマの中から切り取ったワンシーンのように一層奥深いものが多く、今朝の元町ストリートから6月の梅雨空を見上げながら初夏の米国、ウエストコーストを想えば、サーフィンのメッカとして有名な「レドンドビーチ」(Redondo Beach)や「ハンティントン・ビーチ」(Huntington Beach)の白い波頭と紺碧の海がまぶたに浮かんで参ります。

     サンフランシスコへも足を延ばして、高台の瀟洒(sho-sya)なエリアにあるノースビーチ(North Beach)を訪れると、この人気エリアはピクニックと人間観察だけで1日を充分に楽しめる程の奥行きがあって、目的もなく街のあちらこちらを散歩していても必ず可愛いカフェに出会うし、そこで供されるエスプレッソが何処も本場のイタリアを超える完璧なテイストばかりで大満足。

※ 本は旅のお供、人生の友人。 由緒あるブックストア「シティ・ライツ」がサンフランシスコ・ノースビーチでその存在感を発揮している。シティ・ライツ、、文字通りの「街の灯り」だーーー。

     「シティ・ライツ・ブックストア」(City Lights Bookstore) はノースビーチでの最高の気分転換を楽しめるスポット。 サンフランシスコを代表する超有名なこの老舗の本屋さんは「ボブ・ディラン」(Bob Dylan)や「シンディ・ローパー」(Cyndi Lauper / Cynthia Ann Stephanie Lauper) に影響を与えたビート詩人の「ロレンス・ファーリンゲティ」(Lawrence Ferlinghetti / 1919 〜 2021 )が始めた由緒ある書店で、音楽は勿論、詩などの知識が満載のスタッフが各専門分野を請け負っており、「何でもいらっしゃい」の高感度で出迎えてくれるがゆえに、今日も「自由」と「心を支えてくれる本」を求めて世界中から多くの人々が訪れています。

     店頭では、ウエストコーストの一流大学のキャンパスに居るような都会的で洗練されたウエルカムの挨拶が映画のワンシーンのように繰り広げられているのが常で、会話に耳を澄ませているだけで胸が踊ります 〜「こんにちは、ようこそお越しくださいました」「何かお手伝い出来る事がございますか?」「どうぞごゆっくりお過ごしください」「気持ちの良いお天気で良かったです」「コーヒーでもいかがですか?」「さようなら、またお会い致しましょう」、、。 本の香りと人々の交流にハイソサエティ感が満載です。

     実は、元町にも老舗の本屋さんがあって、明治44年(1911年)創業のその名は「高橋書店」。 みなとみらい線「元町・中華街駅」の元町口から徒歩で5分。 メインストリートの「靴のミハマ」さんの一つとなりのビルで、2階と3階が書店ですので気が付かない皆さんも多いかも知れませんが、メインストリートからは階段で、裏の中村川沿いの入口からはエレベーターがご利用できます。

     高橋書店での幼い頃は絵本に漫画、それがやがて少年・少女雑誌へ。 時代が進むと参考書、輸入ファッション雑誌に洋書から専門書・本格文献へ。 大規模書店とは異なる独自の雰囲気が居心地良く、祖父・両親・子・孫の四代でお世話になっている元町仲間も多勢いる本物の老舗書店です。

     これからの旅は、行く先々で、まず本屋を覗くという習慣を身につけるのは如何でしょうか? 特にロンドンもそうですが老舗の本屋を覗くとその国の歴史や伝統、街の人々の普段の姿が垣間見えて、旅の思い出が倍増することでしょう。

Tommy T. Ishiyama

 

 

 

 

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