2024年(令和6年)12月20日号 元町コラム
横浜開港200年 / Y200(2059年)を夢みて!
モトマチのフェニックス
〜不死鳥の翼に乗って〜(24)
〜 クリスマスに思うこと 〜
耳を澄ますと聞こえて来る言葉があります。
西遊記の大スター、おなじみの三蔵法師(玄奘三蔵 / Genjyo Sanzo)は、実際にその17年間にわたる苦難の旅の記録を『大唐西域記』として残していて、当時の中央アジア・インド社会の様相を伝える貴重な歴史資料となっている事はご承知のとおりです。
その折に持ち帰った膨大な量の経典をまとめ、翻訳したのが「般若心経」(Hannya Shingyo)ですが、「般若心経」の「般若」とは「知恵」を意味する言葉で、その中で最も強調されているのが「空」(kuu)という概念です。
※ 般若心経は8種類の漢語訳があるといわれ、その中で日本で普及したのは玄奘三蔵が訳した「般若波羅蜜多心経」だ。 600巻をまとめ上げた大乗仏教の真髄が説かれており、文末はサンスクリット語をそのまま音写した「咒」(zhòu 陀羅尼)で締めくくられいるーーー。
古代インドの仏教徒たちはこの不確かな世の中をどうとらえるべきか様々な考察をめぐらせていて、その中から生まれてきたのが『空』(Kuu)の思想で、変化し続けるこの世の中の背後には複雑すぎるがゆえに人智が及ばない何らかの法則があると読み、その「見えない変化の法則」を「空」と表現して探求の中心課題としたのです。 ゆえに「般若心経」は、私たちは「空」のもとで生きているとしており、そして人間がどのような心構えで人生をおくるべきかを語っている点で興味深いものを感じます。
そんな事を思い出しながら、今日は敬虔な祈りと華やかな騒めきが満載のエストニア共和国、「タリン」のクリスマスマーケットを覗いてみることに致しましょう。
※ 気が優しくて力持ち、、孫娘家の愛犬 “コテツ”は皆んなの人気者。 今朝も登校してゆく全員に短い尻尾をプリプリ振ってお見送り。 皆が無事に下校してくるまでの間、ツリーを守っているつもりなのか大の字寝んねで大イビキーーー。
※ いつの時代も『茶々丸くん』は無言で人の心に自分の気持ちを語りかける才に長けていた。 曰く『今年のクリスマスもノンシュガーでいいからケーキをちょーだいネ』とーーー。
さて、ドリームフライトで目指すエストニア共和国はフィンランド、ロシアと共にフィンランド湾を望む三つの国のひとつで、湾を挟んでフィンランドから南へ約90km。 バルト海の東岸に並んでいるバルト三国の中で最も北に位置している国で、北にフィンランド湾、西にバルト海をいただき、南はラトビア、東はロシアと国境を接し、面積は九州本島の2〜3割増しほどの国土ながら北ヨーロッパを代表する瀟洒でおしゃれな国として人気を集めています。
首都、タリン(Tallinn)のクリスマスマーケットが有名なのは、西欧諸国のマーケットとは一線を画し、カトリックのクリスマスである12月25日以降もロシア正教のクリスマスが1月7日まで続くからで、クリスマスマーケットを長期間楽しめるという利点からヨーロッパのベストクリスマスマーケットのトップ10という位置を常連としてキープし続けています。
※ 近年、お仲間として加わっている『茶々丸ジュニア』は、ホッカホカの湯たんぽを内蔵している癒し系美男子。 いつも優しく微笑んでいるーーー。
クリスマスマーケットが賑やかに開催されているのは通称『ラエコヤ』広場( Raekoja plats / Town Hall Square)で、旧市街の中心に位置するこの旧市庁舎前の広場は路地の多いタリンでは貴重な空間で、そこにエストニアならではの羊毛製の工芸品や木製の工芸品などの温かみ溢れるクリスマス商品が沢山並べられているので大賑わいです。
また、どこの国のクリスマスマーケットでも人気のホットワインは『Glögi 』(クロッギ / エストニア語 & フィンランド語)と呼ばれて、寒い夜空の下で、文字通りホットな人気アイテムとして大盛況です。
このエストニアについて述べておかなければならないことは、世界に先駆けて早い時期からITを行政に活用している事で、完全な「電子政府」が構築されており、国外の外国人にもインターネット経由で行政サービスが提供できる「電子居住権」(E-Residency)制度が完備されている事です。
この制度は投資を呼び込むと同時に、エストニアに好意的な人々を世界で増殖させ得るシステムである事から、ロシアに対する抑止力を高める狙いを充分に満たしていると言えるでしょう。 クリスマスマーケットに訪れる世界中の人々も、国としての大きな心の支えになっているエストニア共和国の昨今です。
皆さま、どうぞお健やかなクリスマスホリデー、そして新年をお迎えくださいますように、、こころよりお祈りを申し上げてご挨拶とさせていただきます。
Tommy T. Ishiyama