2025年(令和7年)9月20日号 元町コラム
横浜開港200年 / Y200(2059年)を夢みて!
横浜モトマチ
“Rainbow Connection”
遥かな虹を超えて 〜(18)
~人と人との出会って本当に不思議です〜
昨日まで、いや、つい先刻まで知らなかったのに、出会ってお話しして、そして次に会うのを楽しみに別れて、再び会って楽しく笑い人間関係が深まって行くのですから。
ある心理学者の見解では同じ目的で行動をしている過程で出会った人々同志は全員友達になれる反面、特に目的もなく出かけた場所でたまたまスレ違った人はお互いに一生の間に再びスレ違うことは極めて少なく、その確率はゼロ%に近いというのです。
「袖振り合うも多生(他生)の縁」ということの具体的なお話しかも知れません。
もっと壮大に宇宙時間で考えてみると人と人との出会いには空前絶後の偶然が寄せ集められていることが判ります。 まず、今、私たちが生きているという現実は46億年という地球誕生以来の歳月の積み重ねの上にあるわけですが、この現在というものは宇宙が出来てから138億年の時の経過の上に成り立っているわけです。
簡単にまとめると、学説にもよりますが138億年前に宇宙が出来てから92億年が経過して地球が出来て、その地球に生命体が誕生したのが更にその6億年後。 その後、人類が誕生するわけですが地球が出来てから実に46億年後という時間を要しています。 ですので、人類が地球に誕生してから現在までは500万年~800万年という僅かな時間が経過しているのみ。
ちなみに、宇宙住所で現在地を表現するならば、「天の川星雲国 銀河系県 太陽系村 字地球入る日本」となります。(笑)
※ 世界的な歴史時間の中で成長発展して来た数少ない商社、ジャーディンマセソン社に在籍した事は筆者の誇りでもあるーーー。
しかし、この太陽系(村)にも寿命があってあと「55億年」程度で消滅しますから、この地球が「ハビタブルゾーン」、つまり、生命体が住める星として存在できるのはあと17億5000万年くらい。
前述の500万年~800万年前という人類誕生からの時間経過と比較して、この寿命を短い時間と考えるか長い時間と考えるかは皆さまのご自由ですが、何事にも終りがあることだけは避けられません。 ですので、この一連のお話しをザックリと大宇宙の中の時の流れで考えるならば、地球の寿命はマッチを擦った時に出る火花、それも、マッチを擦ったと同時に光っては消えて行った目には見えない一瞬の微細な火花が宇宙の中での地球の生存時間ということになるわけです。
今から、ジャスト50年前、独りアムステルダムに赴任する航空機の中で知り合った宇宙工学博士の言葉、「地球の寿命は宇宙時間では目に見えない一瞬の火花のようなものなんです」を毎年この時期になると思い出すのです。
博士は続けます、「だから、現在の地球に宇宙からの生命体が地球人と似たような文化レベルでやって来てお互いに出会う確率はゼロ。一瞬の火花同士だから。但し、どちらかがかつて存在していた形跡は無くても、それぞれの星にいつの日かたどり着く可能性は100%ある」と。
以来、ボクはこの話を冒頭のように「人と人との出会いは貴重な偶然」と置き換えてお話ししているわけですが、人間同士が同じ地球上で出会う事は同じ時期に生まれて生きていることだけでも、もう奇跡的な偶然なわけですから、その出会いは「必然」であり「宿命」ですらあると思う今日この頃です。
縁(えにし)の不思議な糸は新しい季節の中でいろいろな人との出会いを演出してくれることでしょう。 野山にさえずる小鳥たちもその歌声は聡明なメロディを奏で、舞い飛ぶ蝶は幸せを謳歌しながらその喜びを小さな身体全体で表現してくれています。
やがて新雪をいただく山々も、いつしかその表情を変え訪れる新しい季節を笑顔で歓迎しているようにいつもの図柄を山肌に映し出し、ゆるやかに流れる小川は、古(いにしえ)の歴史絵巻のような秋の宴を川面に写しながら豊饒の海へと流れてゆきます。
季節の訪れ、それは人類が足跡を記す遥か以前からこの地球上にあった宝物に他なりません。 1個の元素の存在もまだ誰にも知られることなく、そこには、はんなりとした時が流れていたことでしょう。
地球が青く美しい水の惑星であることを人類が知ったのもつい最近のこと。 この星に生まれた喜びを襟をただして新しい季節の訪れになぞらえて感謝するのは素晴らしい事です。 訪れるそれぞれの季節を、今年はいつにも増して、いつまでもいつまでも忘れないでいたいものです。
※ 奇跡的にこれまで出逢い、貴重な日々を共に暮らしながら楽しく過ごしたペット達も静かに深い眠りにつき、満足感を謳歌している事だろうーーー。
Tommy T. Ishiyama